懐石風の和食
JALのファーストクラスでは、懐石風の和食が供されます。
懐石料理とは、本来茶の湯において茶会のとき、亭主が来客をもてなす茶懐石料理のことでした。
千利休時代の茶会記では、茶会の食事はただ「会」と記されていて、本来は会席料理とされていました。江戸時代になり、茶道が理論化され、禅僧が懐に温石（おんじゃく）を入れ、空腹と寒さを紛らわしたということから「懐石」の文字が当てられるようになりました。
基本は一汁三菜で、三菜は向付、椀盛（煮物）、焼物です。そのあと、強肴、小吸物、八寸、湯桶と続き、香物で締めくくります。供される基本的な順番をみておきましょう。
- 飯。
懐石で最初に出され、少量を盛り付けます。
- 汁。
懐石料理の汁はみそ汁です。
- 向付（むこうづけ）。
手前の両椀（飯と汁）の向こう側に置く器のことで、なますや、さしみのことをいいます。
- 椀盛。
（煮物のこと） 飯、汁、向付の後に出る大切な料理。具がたっぷりで、だしがひたひた程度に張られている大ぶりの塗り椀に盛られた汁物です。
- 焼物。
一般的には魚の切り身を焼いたもの。
- 強肴（しいざかな）。
一汁三菜の後、酒が進むように酢の物、おひたし、うに、塩辛の類（酒盗）を少量出す。
- 小吸物。
背が高めの小さなふたつきの椀。箸洗ともいう。
- 八寸（はっすん）。
一辺が８寸の杉の木の四方の器に盛ったことからついた名前。海のものと山のものを盛り付ける。
- 湯桶（ゆとう）。
懐石の締めくくり。炒り米やお焦げに湯を注いだり、湯漬けにしていただく。
- 香物。
香物は季節の野菜の漬物。
たとえば、JALの長距離の直行便で供される懐石風和食のメニューは以下のとおりです。
主料理の前に出される小鉢物の料理のことで、
「突き出し」や「お通し」とも呼ばれます。
栗と銀杏の白和え
【前菜】
海老菊花 小袖寿司
イクラと長芋の酢橘釜盛り
子持ち鮎 有馬煮
松茸 土佐煮
【椀】
鱧（はも） 丸仕立て
【向付】
鯛昆布〆 生湯葉重ね盛り
油霜鮪
【小鉢】
ずわい蟹 叩きオクラとポン酢ゼリー添え
【煮物】
秋茄子と鰻の煮凝り 胡麻餡掛け
【台の物】
穴子けんちん蒸しと合鴨ロース煮 寄せ地餡掛け
松茸御飯 又は 白御飯（こしひかり）
味噌汁
香の物
水菓子
和菓子
緑茶
和食をいただくにもマナーがありますね。食べ始める際、お箸を持つとき、まず右手でお箸を（真ん中あたりで）上から持ち、左手をお箸の下に添え、それから右手をお箸を下から持つために、お箸の下に移動させるという、この動きが優雅に美しく見えます。
あまりズルズルと音を立てるのも（そば以外は）どうかと思います。特にお行儀が問われるのがお箸の使い方です。ここでは、念のため、タブーとされているお箸の使い方をみておきましょう。
- 迷い箸
お皿の上で箸を迷わせる。 - 刺し箸
煮物などに箸を突き刺す。 - 渡し箸
料理の器の上に箸を渡しておくこと。箸ははし置きに。 - 涙箸
箸の先から汁を滴らすこと。 - さぐり箸
大皿の器の中を箸でかき回して、好きなものを探すこと。